運転手の墓場
今日昼過ぎ、姉から連絡があり、子供がいなかった叔父からの相続の通知が来たことを知らされた。
叔父はトラックドライバーをしていて、羽振りも良く、若い頃はよくご馳走になった。
しかし、ある頃を境に、もう数十年連絡も取っていなかった。
この夏(7月)に亡くなっていたという知らせを聞いて、しばし思考が止まった。
「ある頃」とは20数年前、俺がタクシーに乗り始めた頃である。
俺は若い頃、いや、子供の頃からタクシーに興味があった。
自由な勤務、休みの多さ、一日中大好きな運転、ドライブが出来る職業というイメージで、いつかタクシーに乗るんだという気持ちがあった。
その頃、その夢?が叶ってタクシーに乗ると、まさに運転席は俺がイメージしていた通り、またはそれ以上のパラダイスだった。
自由で、好きなことをしてお金がもらえる。
トラックドライバーの叔父に嬉しそうにそのことを話したんやと思う。
「お前タクシー乗っとるんか…そんなんやめた方が良い。タクシーはな、『運転手の墓場』言われとるんや」
今でも忘れられない言葉である。
それ以来、叔父とは連絡を取っていない。
しかし、今思えば叔父も恐らく軽い気持ちで発した言葉である。
俺がタクシーの楽しさ、そしてタクシーのイメージを変えていくんだという話をしたら、きっと聞いてくれただろう。
同じドライバーとして、いろんなアドバイスもくれたかもしれない。
そんな大事な叔父さん、なにより俺を愛してくれていた人に何十年も会わずに亡くなった知らせを聞いたことにショックを受けた。
タクシーは墓場やない
パラダイスなんや
もう叔父さんに伝えることは出来ない。
あの頃の俺のような若い奴らに伝えていこう。
タクシーに乗ろう。

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